1年の中で、大切な日は2回ある
ひとつは、自分がこの世に生まれてきたことに感謝する自分の誕生日…。
そして
もうひとつは…
愛しい人が、この世に誕生してくれた日。
何よりも大切で、宝石のようにキラキラした存在で、この人に出会えた、巡り逢えた奇跡に感謝をささげたいと思う…大切な日。
9月8日 ―土曜日―
久々の晴天のおかげで、夕日が綺麗だ。
いつものゆるい坂道を山本は急ぎ足で駆け上がる。
手には、獄寺の好物の鮪を使った竹寿司特製、鮪丼を抱えている。
毎週週末はどちらかお互いの家で過ごすようになってから、まもなく半年が過ぎようとしていた。
マンションの最上階にある獄寺の部屋の前で、一度深呼吸をしてからチャイムを鳴らす。しばらくして、ちょっと拗ねた顔の獄寺がドアを開けてくれた。
「わりー、出かけに出前頼まれて遅くなっちゃったのなー」
素直に遅れたこと詫びて、部屋に入ると、晩ご飯に持って来た鮪丼を手渡す。
嬉しそうに風呂敷包みを広げ、鮪を確認している姿は、まるで子犬のようだと思いながらも、口に出しては言えないと苦笑した。
夕飯を食べ終り、少し勉強をしてから交互にお風呂に入る。
いつもと変わらない週末のパターンなのに、妙にドキドキしてしまうのは、もうすぐ獄寺の誕生日だからだろうか…。お風呂から上がり、リビングのドアを開けると、ソファー座りテレビを見ている獄寺がいた。
「なー獄寺、何見てんの?」
ソファーの後ろから、首元に抱きつく。
「っ!」
突然抱きつかれて、ビクッとした獄寺が凄くかわいい…。
こうゆう関係になって、触ってないトコなんてないくらいなのに、未だに恥らう恋人が堪らなく愛おしい…。
「別に何も見てねーよ……」
気に入った番組がなかったようで、ご機嫌斜めだ。
獄寺の膝の上にあった新聞紙を手に取り、とりあえず興味ありそうな番組はないかと、テレビ覧に目を通す。
「風呂…入ってくっから…」
「おぅ」
お風呂に入りに行く獄寺を見送って、山本は今晩の為に隠し持ってきたプレゼントをポケットに忍ばす。
「これでいっかな」
一人満足して、ソファーに座ると、時計を見上げた。
12時まで、あと30分程度…。
自然とソワソワしてしまう自分をなだめつつ、テレビ画面に目をやった。
カチャ―…
しばらくして、獄寺がお風呂からあがってきた。そのまま、冷蔵庫までいき、ミネラルウォーターを取り出す…。
濡れた髪に、風呂上りのせいで白い肌がほんのり薄紅色になっている姿は、とても色っぽい。思わず、そのまま寝室に連れて行きたいのを我慢して、再度時計に目をやると、あと数分で日付が変わるところだった。
絶対12時丁度にお祝いの言葉を告げたい。
そう思って、ソファから立ち上がると、冷蔵庫の前にいた獄寺に背中から抱きつく。
「うわッ、おぃ、バカはなせッ」
驚いた獄寺に無理矢理引き剥がされそうになりながらも、必死でしがみ付く。
正面を向かせ、獄寺の両手首を掴むと、そのまま冷蔵庫に押さえつけ、無理矢理唇を奪った。
「――ッ」
吐息さえ奪う勢いで、深く口付けし、力の抜けた獄寺の手から、ペットボトルがすべり落ちる。
そっと目を開け、時計を見やると、丁度12時になろうとしていた。
口付けた時の激しさとは逆に、ゆっくりと口付けを解くと、閉じられていた獄寺の瞳が開く。吸い込まれそうな綺麗な萌葱色に見とれそうになりながらも、どうしても今伝えたい言葉を、愛しい人に囁く…。
心から…
獄寺、誕生日おめでとう
これからも一緒にいような…
愛してる。
September, 9
おかしい…エロス書く筈が…。
出来たら、続き書きたいです。なんでこーなったんでしょぅ(苦笑)
武ビジョンバージョンになったのも謎ですが…。しかも、プレゼント渡せてないよー?
やっぱ、続きますvvv
この画像はコチラからお借りしました。